大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和60年(行ク)28号 決定 1986年2月12日

申立人

安藤睦子

外九名

右申立人ら代理人弁護士

木村保男

松森彬

的場悠紀

大槻守

中井康之

福田健次

主文

本件申立てを却下する。

理由

一申立ての趣旨及び理由

別紙のとおりである。

二当裁判所の判断

申立人らの本件訴えは、神戸国際港都建設事業六甲道駅前地区第一種市街地再開発事業計画決定の取消しを求めるものであるが、右事業計画決定は抗告訴訟の対象となる処分に該当しないもので、本件訴えは不適法と解すべきであり、したがつて、兵庫県知事坂井時忠を本件訴えに参加させる必要性はないから、申立人らの本件申立ては却下を免れない。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官野田殷稔 裁判官小林一好 裁判官横山光雄)

申立ての趣旨

申立人安藤睦子ら、被告神戸市間の昭和六〇年(行ウ)第一四号六甲道駅前地区第一種市街地再開発事業計画決定取消請求事件(以下本訴という)につき、兵庫県知事坂井時忠を訴訟に参加させる

との決定を求める。

申立ての理由

1 申立人らは、本訴において被告が昭和六〇年一月二八日公告した国鉄六甲道駅前地区を対象とする第一種市街地再開発事業の事業計画決定処分の取消しを求めているが、左記の理由により本訴に被申立人兵庫県知事坂井時忠を参加させることを求める。

2 本件事業計画決定が違法である理由の一は、その前提となつている都市計画決定が違法なためであるところ、右都市計画は被申立人が昭和五四年一二月二一日決定し告示したものである。

そこで、本件事業計画が違法性を承継しているところの右都市計画を決定した当事者の参加を求める必要がある。

3 また、被申立人が告示した右都市計画決定と、被告がその後原告ら市民に配布した計画決定とでは、計画の内容が異なるという通常考えられない事態があるが、この理由なども被申立人の参加を得て審理しなければ真実は解明できない。

すなわち、昭和五五年一月中旬、事業の施行者である被告は原告らに対し、はじめて計画の内容を記載した書面を配布したが、そこには(ⅰ)六甲道駅北側広場の記載はなく、(ⅱ)神若線については備考欄に整備済と明記されていたが、被申立人が兵庫県公報に告示した計画では、公共施設の一つとして六甲道駅北側広場の記載があり、逆に神若線については整備済の記載がなくなつており、不可解である。

4 行政事件訴訟法二三条は、本件のような場合、即ち、関係行政庁を訴訟関係に引き入れて攻撃防禦に参加させ、訴訟資料を豊富にし、適正な審理裁判を実現させる必要がある場合に訴訟参加を認めており、申立人らは申立ての趣旨記載のとおりの決定を求める。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例